ヴォルシュティンで体験した蒸気機関車の魅力

先日、蒸気機関車のファンには垂涎の的であるヴォルシュティンWolsztynに行ってきました。
ヴォルシュティンはポーランドの西部にあるこじんまりとした小都市で、鉄道ファンにはおなじみの蒸気機関車機関庫があります。
2年ほど前までは一般営業路線としてヴォルシュティンとポズナン、レシノを蒸気機関車が牽く結んでいましたが、鉄道のイノベーションが進むポーランドで、住民の不満と運行コストの高さなどが原因で、現在はイベントなどで動くだけとなりました。そういうわけで今は博物館になっています。

今回、博物館を案内してくださったのは博物館の名物ガイドといってもよいヴィエスワフ・ヨキェルWiesław Jonkielさん。1967年に鉄道技術学校を卒業後、41年間にわたってずっとこのヴォルシュティンの蒸気機関車とともに歩んでこられた人物です。
定年後も施設の案内人として活躍してこられ、2011年にはポーランド政府から交通功労勲章を授与されたというすごい方なのです。

 

上の動画は授与の記念のインタビューの様子。
施設のあちこちをジョークも入れながら熱い言葉で語ってくださり、蒸気機関車についての知識がまるでなかった私もすっかり時間を忘れて見学することができました。
ヨキェルさんがここで働き始めた時は鉄道技術学校を卒業して、正規の鉄道員になるまで現場で1年間の修行が必要だったそうです。最盛期にはヴォルシュティンの機関庫にはかつては330人の鉄道員が勤めていて、修理部門だけでも60名がいたそうです。毎日25台の蒸気機関車が稼働し、日に2台は定期点検中というテンポの仕事だったそうです。今は1か月に1台のペースで点検があるということで、スタッフも9名と昔に比べると小さな規模になっています。

蒸気機関車が並ぶ
線路には製造年が記されている
車体にあるPはポーランド語のpospieszny(急行)の意味で、
急行の蒸気機関車についている
車輪の直径が大きなものは、高速でも馬力が弱く、
径の小さな貨物用機関車はその逆で低速でも、たくさんの
貨車を牽くことができるのだそう。
蒸気機関車はこの火室が一度冷えてしまうと再始動
に12時間かかるというから驚き。
石炭を火室に入れる作業をさせていただきました。
これが手は汚れるわ、重いわでなかなか大変。
こちらは特殊作業用の蒸気機関車で、石炭は使用せず、
作業ごとに蒸気を貯めて動力源にするタイプ。
火気厳禁などの作業場で活躍しました。
レトロなこの客車は1両の2/3が2等車
そして残りの1/3が1等車になっています。
除雪車の上の部分に人が乗り、
雪の様子を電話で後ろに続く機関車に伝えた
こちらは機関車のメンテナンス機材が保管されている工作場
堅牢な19世紀のストーブ
それぞれの蒸気機関車に整備手帳があり、
これまでの車両の記録が非常に細かく記されている
修理に必要な工具類
こちらも同様に工具室で
OはOsobowy、つまり客車用という意味
こちらは現体制になってからのもの。
社会主義時代は鷲に王冠がなかったので前の写真と比較すると
差がよくわかる
こちらの建物の1階は蒸気機関車やヴォルシュティン、
鉄道についての展示があり、宿泊施設にもなっている。
機関庫の見取り図
鉄道員の制帽
蒸気機関車を方向転換させる転車台
転車台の動力機は19世紀のもの
万が一の場合、真ん中の黄色いハンドルを回転させて手動で動かすことができ、
それも無理となれば4mの棒を転車台に差し込んで片側10人の人力で回転させるという
ヴォルシュティンの鉄道博物館
蒸気機関車博物館へは、ヴォルシュティン駅下車すぐ。
館内にはシンプルな宿泊施設があり、最高のロケーション。蒸気機関車の音で目が覚める本当に操車場に隣接の場所です。
ヴォルシュティンでは実際に動く蒸気機関車の運転台に乗って、機関士や機関助手席での作業を体験することができます。
Wolsztynへのアクセス
ポズナンPoznańから列車で1時間30分程度。1時間から2時間毎に運行。 バス便はポズナンバスターミナルから運行。詳細の時刻表はwww.e-podroznik.plで検索できます。

ポズナンへは、成田空港からLOTポーランド航空でワルシャワ乗り換え、成田・羽田からルフトハンザ・ドイツ航空でミュンヘン、フランクフルト乗り換えで楽々アクセス。また、ワルシャワ、ベルリンからは列車で約3時間。

LOTポーランド航空 www.lot.com

 

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