春を呼ぶポーランドの復活祭

今年の復活祭は明日の日曜日になります。日本ではあまり知られていないですが、復活祭(イースター)はキリスト教国ではクリスマスに並ぶ大切な祝日です。家族がみんな集まってお祝いするのが普通ですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにそれぞれ離れてこの祝日を過ごす人たちも多くなっています。

復活祭で何よりも華やかなのはパームサンデー(シュロの主日)のお祝いです。キリストが十字架に架けられる前にエルサレムに来た時に、民衆はシュロの葉を道々に敷いてこの救世主を歓迎したといわれますが、それに由来したお祝いです。現在、シュロとして用いられているのは皆さんが知っているシュロの木の葉っぱではなく、ツゲやドライフラワーにネコヤナギの枝をまとめたブーケが普通です。南部ポーランドの世界遺産の木造教会があるリプニツァ・ムロヴァナでは毎年これを祝って数メートルにもなる色鮮やかな巨大なシュロ飾りを作り、その大きさを競い合うコンテストも開催されています。このシュロ飾りには病を防ぐ力が備わっていると昔から信じられていて、復活祭の礼拝後に参列者は互いにこのシュロ飾りに触れて健康や幸せ、豊作などを念じます。教会で祝福を受けた「シュロ」には、病気を防ぐ力が備わるとかつては信じられ、、礼拝が終わると、参列者はそれぞれにシュロの飾りでお互いを触れて、健康や富、豊作などを祈ります。

今日は、その復活祭の前の聖土曜日で、従来はどの家庭でもキリストの聖体、幸せを意味するパンや再生復活を意味する卵、命をもたらす塩など7種類の食品を入れた小さなかごを教会に持参し、司祭に祝福をしてもらいます。このように祝福を受けた食品は翌日、復活祭の朝食に並びます。テーブルには真っ白いクロスをかけ、和やかであたたかい雰囲気のなかで家族がそろってハム、パテ、ソーセージ、鶏料理、ルラードやローストポーク、卵やケーキなどが並ぶ食卓を囲むのです。

翌日月曜日はスミグス・ディングスといわれ、男性が女性に水を掛けるという昔の風習が今も形だけ残っています。地方によっては大地や家畜に五穀豊穣の願いを込めて水を掛ける習慣が残る土地もあります。以前、トラムの扉が閉まる前に外から水を入れた容器を持ってきて乗っていた女性客たちにぶちまけて逃げて行った若者がいて、女性がカンカンに怒っていたのをふと思い出しました。さすがに今年はそういうことはないと思いますが、雑学として水が多少なりとも降ってくる可能性があることを覚えておくとよいかもしれません。

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