欧州ゴシックレンガ街道を歩く – グルジョンツの旧穀物倉庫群

グルジョンツは、トルンからヴィスワ川を下り、グダンスクに行く途中にある人口9万人ほどの都市で、あたかも城壁のように見える中世ゴシックレンガ造りの穀物倉庫群(13世紀から17世紀)で有名です。

中世のゴシックレンガで築かれた旧穀物倉庫群


この町が歴史に出てきたのは11世紀の半ばのことで、その後、チュートン騎士団が1231年に占領し、17世紀末から18世紀初めにはスウェーデン軍、またプロイセンが支配していた時代には18世紀末に一時プロイセン王と宮廷がここに移ったこともありました。
グルジョンツは第二次世界大戦末期の1945年2月から3月のナチス・ドイツ軍とソ連軍の戦いで市街の60%が破壊を受けましたが、戦災を乗り越えたゴシックレンガ建築は欧州ゴシックレンガ街道European Route of Brick Gothic(EuRoB)に
貴重な歴史的建造物として登録されました。穀物倉庫群の近くにある小高い丘に登ると、ヴィスワ川とグルジョンツ盆地が目の前に開けてポーランドの平坦さを体感できます。丘にはかつてはチュートン騎士団の城がありましたが、今は城址となっています。じつは、このお城には悲恋の伝説があり、今も語り継がれているんですよ。

17世紀末から18世紀初めまでのスウェーデン軍に占領されていた頃の悲恋の伝説です。ポーランド人のヤドヴィガという美しい娘がスウェーデン軍将校と恋に落ち、結婚の約束をし、二人はスウェーデンへ駆け落ちする約束をしていましたが、それが人一倍愛国心の強い市議会議員であったヤドヴィガの父親の知るところとなり、逆鱗に触れてしまったのでした。
父親は刺客を差し向けて、城の井戸のそばでヤドヴィガが来るのを待っていた青年将校を殺してしまいます。
ヤドヴィガは
恋人の変わり果てた姿に泣き悲しみ、スウェーデンに二人で行くために持参してきた金銀や宝石類をすべて井戸の中に投げ捨てたといわれます。その後、ヤドヴィガはベネディクト会の修道女としてその一生を終えたそうですが、その財宝を見つけた人はいまだにいないらしいですよ。

「どうかヤドヴィガのようにはなりませんように!」という思いを込めて、若い女性は城の井戸を背中にして右手でコインを持って左肩側から投げ入れて厄払い(?)をするとか。

皆さんもグルジョンツに行くことがあったらお試しくださいね。

さて、グルジョンツでは毎年6月に「グルジョンツ祭り」が開かれています。とくに骨董がいろいろ並ぶ蚤の市Ogólnopolski Nadwiślański Jarmark Starociは人気です。何か素敵な物が見つかるかも!

【アクセス】 世界遺産の中世都市トルンから電車で1時間半。
路線検索はこれが便利→https://en.e-podroznik.pl/
【観光インフォメーション】https://itgrudziadz.pl/en/tourist-information/

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