
10月の半ば、ショパンが生まれた家を訪ねました。
ワルシャワから少し離れた小さな村ジェラゾヴァ・ヴォラ。木の葉が金色に揺れる秋の庭には、時の流れが止まったような静けさがありました。
10月の半ば、ショパンの生家を訪ねました。
ジェラゾヴァ・ヴォラ Żelazowa Wola―― ワルシャワから車で1時間ほど走っただけなのに、そこには時間が止まったような静けさがあります。
前に来たときは緑に満ちていた庭が、今は秋の光に包まれ、木の葉が金色に透けて揺れていました。《ポーランドの黄金の秋》という言葉がありますが、そう、その光景です。
ショパンがこの家にいたのは生後わずか半年だとか。それでも、このマゾフシェの大地が彼の心に残した響きの記憶は深く、やがて彼の音楽に姿を変えていったのでしょう。震える絹糸のように繊細で、時に燃えるように激しい旋律。そこには、孤独や祈りのような静かな熱が感じられます。ワルシャワからウィーンへ、パリへ、そしてマヨルカへ―― 二度と戻ることのない旅の人生から生まれた音楽の底には、マゾフシェの土の匂いと風の音が今も息づいている気がしました。
2日後、ショパン・コンクールのファイナルでピアノを聴きました。最初の一音が響いた瞬間、空気がすっと澄みました。派手さはないのに、まっすぐに心の奥に届く音。(演奏者の名前はあえて書きません。)
あのジェラゾヴァ・ヴォラで感じた静けさと、どこか同じ匂いがしたのです。
音楽とは…もしかすると人が心の奥で見つける静かな祈りなのかもしれません。

ショパンコンクール




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