世界遺産 百年記念会館 ‐ 世界最大の鉄筋コンクリートドーム建築といわれた建物

今日はポーランド南西部の主要都市ヴロツワフにある«百年記念会館»という建物をご紹介したいと思います。巨大な鉄筋コンクリートのドームがその百年記念会館Centennial Hall(ドイツ語でJahrhunderthalle、ポーランド語でHala Stulecia)で鉄筋コンクリート建築史のなかでも画期的な作品といわれています。
 百年記念会館は、19世紀の「ライプツィヒの戦い」の戦勝から100年を記念してドイツ人建築家マックス・ベルクが設計、1911年に着工して1913年に完成しました。百年記念という名称はそこから来ています。

 構造は、およそ六千人を収容できる円形の空間(直径65 m、高さ42 m)を中央に配置した、左右対称の四葉型になっています。高さが23 mもある円蓋の頂は鉄とガラスで出来た明かり窓になっており、窓枠は堅木を使用。また音響効果を良くするために木材やコンクリートとコルクを混ぜた遮音層が壁を覆っています。上を見上げればわかるように、装飾的な要素はなにもなく、打ちっぱなしコンクリートの無機質な壁に木製の型枠の跡をつけて仕上げられています。
 この百年記念会館には古代の公会場を真似た広場が西側にあります。北側には歴史的展示物を補完展示するために「四円蓋展示館Four-Dome Pavilion」(1912年ハンス・ペルツィヒ設計)と人工の池を囲むコンクリート製のパーゴラがあります。
 入り口に隣接して、展覧会場を管理している会社(ブレスラウアー・メッセ株式会社Breslauer Messe A.G.)の事務所ビルがありますが、リヒャルト・コンヴィアルツ設計どおりに1937年に建てられたものです。公会場へと続く道は1924年にマックス・ベルクが設計した鉄筋コンクリートの柱を配した柱廊の形になっています。
 百年記念会館は、近代工学と建築学の草分け的な作品であり、前世紀初頭の鉄筋コンクリート建造物を知るための貴重な素材となっています。

現在、一時的に百年記念会館の内部には立ち入りができませんが、 外部からの見学はできます。お出かけ前に公式サイトでご確認ください。

データ
公式サイト: www.halastulecia.pl
アクセス: ワルシャワからヴロツワフまでは、飛行機、鉄道または長距離バス(FLIXBUS)を利用。ヴロツワフ中央駅から市バス145、または146を利用、”HALA STULECIA”下車

 開館時間
4月~10月
 月~木 9:00-18:00
 金土  9:00-19:00
 日        9:00-18:00
11月~3月
 月~金 9:00-17:00
 土日  9:00-17:00

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