ワルシャワとグダンスクの間にあるトルンは世界遺産に中世都市トルンとして登録されています。トルンはコペルニクスが誕生した町で、チュートン騎士団の時代からの重厚なゴシック煉瓦の建築が旧市街の各所にあり圧巻です。この町の名物はピェルニク(シナモンやナツメグ、ジンジャーなどのスパイスが入ったクッキー)で、ショパンもピェルニクが大好きだったそうです。そんなピェルニク作りを実際に体験しながら学べるミュージアムや手描きの芸術的なピェルニクが並ぶショップもありますよ。ワルシャワから北に向かっての旅行なら必ず訪れたい町のひとつと言えるでしょう。
さて、この歴史の街を歩いていると旧市街広場からそれほど遠くない場所にこんな建物があります。いったいどうしてこんな形になったのでしょうか?

この建物は元々は1階もあったのですが、市内の交通の利便性をよくするために1911年にドイツの建築士カール・ツェザールが建物の一部をくり抜いて通路にする工事を施工しました。そのため、真ん中の白い建物はツェザールのアーチ(ポーランド語でŁuk Cezara)と呼ばれています。
そして1936年からは路面電車がこのトンネルを通るようになり、さらに歩行者と車両の通行を分けるために左右の建物にさらに通路を作ったために現在の形になりました。地震がほとんどないポーランドだからこその構造だなと、これを見たときまず最初に思いました。グーグルマップでは通り抜けが体験できますよ。
実際に歩いてみて振動のトラブルがなかったのかなと気になりましたが、現地で伺った話では旧市街地区を路面電車が通ることで市庁舎等の壁にひび割れが入るなどの問題があったそうです。多分、この家の住人も音や揺れに相当苦労していたのかもしれません。
1971年に旧市街エリアと新市街の周囲に新しい路面電車の路線ができたため、この旧市街への路面電車は廃止されて、現在はかつてここを路面電車が走っていたことを記念するプレートと線路の一部が残されています。
この画像は西側から撮っていますが、東側(画像の反対側)からだと中央の建物の装飾がとても細やかで見事なバロック様式になっているのがわかります。(上のグーグルマップをごらんください)。写真を撮るならそちらからがおすすめです。
知らなければさっと通り過ぎてしまうちょっとした場所ですが、ガイドブックには出てこないトルンの街角の話をご紹介させていただきました。
[トルンへのアクセス]
ワルシャワ中央駅から列車で3時間程度。バスで3.5時間から4時間程度。バスターミナルの方が旧市街に近い。
◆鉄道など総合路線検索(英語)e-podroznik.pl
◆ワルシャワ⇄トルン間のバス検索 Flixbus
