ポーランドに詳しい方ならすぐにピント来ると思いますが、今日のテーマであるグダンスクはポーランド北部の中心都市で、ヴィスワ川がバルト海にそそぐ河口のデルタ地帯に発達したグダンスク湾を臨んでいます。13~14世紀にはバルト海沿岸地域の貿易の窓口となり、ヨーロッパ北部経済圏を支配したハンザ同盟の一員として繁栄を誇った歴史を持っています。現在もポーランド北部の顔といえる歴史・文化・観光の拠点都市です。
このグダンスクとリゾート地のソポト、そしてポーランド最大の港湾都市グディニアは三つ子都市と呼ばれます。それは隣り合わせの三都市で1つの港町文化をかたちづくっているからなのです。

中世の港町を彷彿させるモトワヴァ運河
グダンスクは第二次世界大戦勃発の地としても知られます。

1939年9月1日、グダンスク港にある岬のヴェステルプラッテにいたポーランドの守備隊にナチス・ドイツが猛攻をしかけ、第二次世界大戦が始まりました。その後、町は独ソの激戦地となり、歴史地区は80%が破壊されました。
しかし、「もう一度美しさを誇ったグダンスクの町を我々の手で」という市民の強い意志と努力によって、戦後にグダンスクはがれきの山から美麗なかつての姿を取り戻したのです。
(右)ヴェステルプラッテの記念碑

旧市街のメインストリートのドゥーガ通りは王の道と呼ばれ、その長さは約500メートルあります。珍しい街路型の広場で、かつての富裕な市民や貴族らの築いた瀟洒な建造物が続いています。ここは今ではツーリストでにぎわう場所ですが、昔は国王の凱旋パレードや犯罪者の刑罰執行が行われ、さらには市民の集会など多くの歴史的な出来事の舞台となった場所でした。
晴れた日にドゥーガ通りを歩くとまるで青銅の像のように見える人や楽器の演奏をする人などや大道芸人たちのパフォーマンスに思わず足を止めて見入ってしまうことでしょう。明るく開放的な港町の空気にあふれるグダンスク旧市街は、ポーランドを訪れるなら必ず立ち寄りたい場所のひとつです。

聖ドミニコ市のワンシーン(ドゥーガ通り)
ワルシャワからは快適な特急列車で2時間半ほどでアクセスできる北の都。今年は762年目になる聖ドミニコ市(Jarmark Dominikanski)は7月23日から8月14日まで開催されます。